
2009.06.29
私は、介護の仕事についてから後輩や実習の学生などから「どうしてこの仕事を選ばれたのですか?」と聞かれる事があります。そんな時は、「人の役に立つ仕事をしたかったから」とか、「やりがいのある仕事だから」など、真面目に答えるのも何となく恥ずかしく、ありきたりな回答で誤魔化してしまうことが多いのですが、この場を借りてちょっとだけ真面目に答えてみようと思います。
私は十代の頃、自動車関係の技術職になろうと思い、高校も工業高校に通っていました。実家の目の前に大きな整備工場があり、子供の頃にはよくそこのお兄さん達に遊んでもらっていたので、自然にそちらの道に進もうと考えたのだと思います。
そんな私が、なぜこの業界に入ったのか?私が就職活動をしていた頃、ちょうどバブルが弾けて望んでいた自動車関係の求人が激減していました。まったく求人が無いわけではありませんでしたが、長い将来を考えると、別の道も考えた方が良いと思い、それならまったく別の仕事をと探したいくつかの道の中の一つとして福祉がありました。その中から福祉を選択した理由は、工業高校から福祉に進むのも面白いかな?と考えた、かなり不純な動機(本当にそれだけ)だったのです。
動機が不純なまま介護福祉士の専門学校に通い、初めての望んだ実習の初日で、私は自分のいい加減さを思い知らされました。いい加減な気持ち(表面上は真面目に)で介助をしていた私の手を握り「ありがとう。こんなに若い人がお世話してくれるなんて...」と今にも泣きそうになりながら、しきりにお礼の言葉を繰り返されたからです。他の大半の方も私が何かするたびに何かしらのお礼の言葉を掛けてくれる事に、いい加減に考えていた私はお礼を言われる資格がないと罪悪感で一杯になってしまいました。
この経験が、動機は不純でしたが、感謝されても恥ずかしくないケアが提供できる介護士になろうと誓い、本格的にこの仕事に就くことになった理由です。
私が働き始めた頃の時代と違って、最近は知識や技術を兼ね備えた専門職(プロ)としての介護士が求められています。しかし私はそれ以前に、人としての「心のあり方」が重要だと思っています。上手く表現できないのですが、それは相手と真剣に向き合おうとする気持ちであり、そこには優しさや思いやりなども含まれるのだと思います。もちろん知識や技術はお客様の生活を支える上で必要不可欠な要素ですが、いくら知識や技術があっても、昔の私のようないい加減な気持ちでこの仕事はできませんし、第一そんな人には介護されたくないですよね。(笑)
さて、私が人に感謝されても恥ずかしくないケアを提供できる介護士になると誓ってから十数年もの時が経ちました。果たして私はそうなれたのでしょうか?
胸を張って「なったよ!」と言いたい所ですが、これを決めるのは私ではなくお客様ですので、自分には分かりません。しかし、この誓いは今でも私の基本姿勢として大切にしています。でも、忙しい介護の現場で仕事に追われているといつの間にかそう言った気持ちは薄れてしまうものですから、たまにはゆっくり思い返して、初心に帰る時間も必要なのだと思います。
皆さんはなんで介護の仕事を選びました?たまには思い返して見ませんか?
富士見台特養 介護係長